基本はネタ帳。
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最近授業中にラビアレの最終的に死にネタが浮かんで困ります。
神田にすごく言わせたいセリフとラビにやらせたいことと言わせたいことがあるのです。でも死ネタは若干タブーなんです。私も悲しくてしかたなくなるから。
だいたい死にネタって言い方もよくないとは思うのですが・・・。ネタって。でも他に言い方が思いつかない。
あと最近思い浮かぶのは、双子パラレルと(お相手は決まっていませんが)、路地裏シリーズと、人当たりはいいけれど冷酷気味なラビ(ディック?)の原作設定。書けたら書きたいな。
1日が26時間あったってかまわないのに。
神田にすごく言わせたいセリフとラビにやらせたいことと言わせたいことがあるのです。でも死ネタは若干タブーなんです。私も悲しくてしかたなくなるから。
だいたい死にネタって言い方もよくないとは思うのですが・・・。ネタって。でも他に言い方が思いつかない。
あと最近思い浮かぶのは、双子パラレルと(お相手は決まっていませんが)、路地裏シリーズと、人当たりはいいけれど冷酷気味なラビ(ディック?)の原作設定。書けたら書きたいな。
1日が26時間あったってかまわないのに。
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ざわざわと風に身を任せる木々の声。そしてその間から漏れてくる白い光に呼ばれて、アレンは目を覚ました。
木々に四方を囲まれてアレンは地に伏していた。身体を起こそうとすれば、背骨などあちこちが小さく傷みだす。
どうしてこんなことになっているのだろう、と記憶を辿る。
「・・・ティム、いる?」
小さく呼べば小さな相棒はすぐにアレンを見つけてやってきた。ティムもアレンを探していたのか、心配したと訴えるようにその丸い体をぐりぐりとアレンの額に押しつけてきた。
「痛た・・・。ティムってば、痛いよ」
額を袖口で拭えば、薄く切れていたらしくピリッとした痛みが走る。団服は流石と言うべきか、小さなほつれや葉っぱはあちこちについていたけれど、しっかりと持ち主の身体を守っていた。
唐突に、思い出した。
「そっか、僕、落ちたんだっけ」
崖から、この森へ。
連携していつまでたっても攻撃らしい攻撃もせずに動き回るアクマたちをおかしいと思わないでもなかったけれど、気がついたら崖に体よく誘導されていた。
アクマに囲まれて、逃げ場なんて無くて、逃げる気も無かった。
ただ、運の悪いことに崖はアクマの攻撃に耐えられなかったのだ。
アクマが撃った弾を避けて、ちょこまかと動き回る哀しい兵器を開放してあげようと動きをうかがう。
アレンの髪を数ミリ散らした弾は、続いてアレンの足元を狙ってきた。
アレンはイノセンスをエッヂに変えて、弾を撃った直後の一瞬の隙をとらえて魂を開放しようとした。
着地した衝撃で崖が崩れ始めても、アレンは空を見ていた。
レベル1が数体とレベル2が二体。開放した魂はどこかへと消える。それが常。
ただ一つ、魂は消える瞬間にその声なき声でアレンに囁いた。
慰めとも叱咤ともとれるその言の葉。
気がついたときには身体は宙に放り出されていてクラウンベルトを伸ばしても、もう遅かった。
「よく、助かったなあ・・・」
教団支給の個人にあった団服がだいたいの衝撃を受け止めてくれるとはいえ、木々の中に突っ込んでたいした怪我も無く、運が良かったと思う。
あとで、またリンクやコムイに怒られてしまうかもしれない。
「そりゃ、リタイアはできないからねぇ」
突如返ってきた声にアレンは銀灰色の目を見開いた。
少女はいつのまにかアレンの傍に佇んでいた。
「無事でよかったねぇ。それとも、逝きそこねて残念だったねって言えばいい?」
「あいにく死ぬ気は無いので、ありがとうとだけ言っておきます」
「ふふ、どういたしましてぇ」
「・・・相変わらず神出鬼没だね、ロード」
「アレンが呼ぶからね」
「呼んでないよ?」
「嘘。呼んでたよぉ」
身体を起こしていても、地面に座り込むアレンはどうしてもロードを見上げる形になる。
光源の少ない森の中。佇むロードの表情は逆光で陰っている。
自然な動きでロードはアレンの顔に出来た小さな擦り傷のひとつに触れた。
触れた指先の温度は、アレンよりも少しだけ温かかった。
「羨ましかった?」
まったくもって真意の読めない言葉に、アレンは黙ってロードを見つめる。
「タマシイ。笑ってたんでしょ?」
思わず目を見張る。
ロードにとってのアクマは数ある玩具だ。どうやったってアレンのアクマを想う気持ちは理解できない。
脳裏に浮かんだのは、囚われた魂があるべき場所に還る前にアレンに残した言の葉。
「ううん。僕はまだやることがあるから」
開放は望んでいない。
それは本心で、少しだけ強がりだった。
「ロードこそ、羨ましいんじゃない?」
ちょっとした交ぜっ返しのつもりでアレンが返すと、ロードはそうかもねと笑った。
ぽかんとするアレンに構わず、小さな唇はゆっくりと紡ぐ。
「ボクらに、リタイアは許されていないんだ」
それが寂しそうに聞こえて、アレンは左手を伸ばした。
ティムはさっきからずっとピクリとも動かない。息を潜めて成り行きを見ている。
「僕らは、――」
――これから貴方を待ち受ける脅威に対して、私は祈ることしか出来ない。
背を預けられる人がいるのなら、その背を伸ばして、立ち向かって。
生き抜いてください。無責任だけれど、貴方にはそれができるのだから。
脅威と言われて思い浮かべるものなんて、とても片手では足りそうに無い。
それでも、やることは決まっている。
今出来る精一杯を。それがすべて。
「――僕らは生きているから」
ノアが憎むイノセンスの左手がロードに触れた。
「うん」
傷一つ無い浅黒い肌は、それを拒むことはしなかった。
その先は、二人とも言葉にしない。
ただ、物言わぬ金色のゴーレムだけが、その羽音を響かせた。
耳障りな砂嵐を何度か鳴らせて、イヤリング型の通信機が反応する。
それは終わりを告げる合図。
非日常から日常へ戻る鐘の音。
「・・・・・はい、アレンです」
『ウォーカー、いったいどこにいるんですか』
「えっと崖から落ちちゃって」
『崖!? どこか怪我は・・・』
答えようと口を開くと、その口が塞がれた。
一瞬の出来事。
唇に残る何かに触れた感触。思わずアレンが口元に手を当てたときには、少女の姿はどこにもなかった。
「・・・・・・・・!」
『ウォーカーどうしました? ウォーカー?』
通信機からは返事をせかすリンクの声。
息を吸って、吐いて、深呼吸。そうしてようやっと口を開く。
しばらくしてリンクがやってくるとのことで通信は切れた。
沈黙を守るティムをそっと見やる。
さっきまでの夢のような出来事は、まだアレンの中で鮮やかに残っている。
「羨ましかった?」
「・・・ううん。そんなことないよ」
だって誓った。大好きな養父にも。心の底では敬愛していた師にも。
精一杯生きることは難しいかもしれないけれど、やり遂げてみせると。
「行こうか、ティム。そろそろリンクが迎えに来る」
柔らかな木漏れ日を受けて、ティムは一度羽ばたいた。
天国は有料でさらに僕らは規定年齢にも達してないから
* * * * *
(お題元:h a z y)
久々の話。もはやリハビリ?
このあともだらだらと続くんですけど、終わらないのでばっさりカットしてしまいました。
ローアレが足りません。こんなんで冬眠できるかな・・・?
木々に四方を囲まれてアレンは地に伏していた。身体を起こそうとすれば、背骨などあちこちが小さく傷みだす。
どうしてこんなことになっているのだろう、と記憶を辿る。
「・・・ティム、いる?」
小さく呼べば小さな相棒はすぐにアレンを見つけてやってきた。ティムもアレンを探していたのか、心配したと訴えるようにその丸い体をぐりぐりとアレンの額に押しつけてきた。
「痛た・・・。ティムってば、痛いよ」
額を袖口で拭えば、薄く切れていたらしくピリッとした痛みが走る。団服は流石と言うべきか、小さなほつれや葉っぱはあちこちについていたけれど、しっかりと持ち主の身体を守っていた。
唐突に、思い出した。
「そっか、僕、落ちたんだっけ」
崖から、この森へ。
連携していつまでたっても攻撃らしい攻撃もせずに動き回るアクマたちをおかしいと思わないでもなかったけれど、気がついたら崖に体よく誘導されていた。
アクマに囲まれて、逃げ場なんて無くて、逃げる気も無かった。
ただ、運の悪いことに崖はアクマの攻撃に耐えられなかったのだ。
アクマが撃った弾を避けて、ちょこまかと動き回る哀しい兵器を開放してあげようと動きをうかがう。
アレンの髪を数ミリ散らした弾は、続いてアレンの足元を狙ってきた。
アレンはイノセンスをエッヂに変えて、弾を撃った直後の一瞬の隙をとらえて魂を開放しようとした。
着地した衝撃で崖が崩れ始めても、アレンは空を見ていた。
レベル1が数体とレベル2が二体。開放した魂はどこかへと消える。それが常。
ただ一つ、魂は消える瞬間にその声なき声でアレンに囁いた。
慰めとも叱咤ともとれるその言の葉。
気がついたときには身体は宙に放り出されていてクラウンベルトを伸ばしても、もう遅かった。
「よく、助かったなあ・・・」
教団支給の個人にあった団服がだいたいの衝撃を受け止めてくれるとはいえ、木々の中に突っ込んでたいした怪我も無く、運が良かったと思う。
あとで、またリンクやコムイに怒られてしまうかもしれない。
「そりゃ、リタイアはできないからねぇ」
突如返ってきた声にアレンは銀灰色の目を見開いた。
少女はいつのまにかアレンの傍に佇んでいた。
「無事でよかったねぇ。それとも、逝きそこねて残念だったねって言えばいい?」
「あいにく死ぬ気は無いので、ありがとうとだけ言っておきます」
「ふふ、どういたしましてぇ」
「・・・相変わらず神出鬼没だね、ロード」
「アレンが呼ぶからね」
「呼んでないよ?」
「嘘。呼んでたよぉ」
身体を起こしていても、地面に座り込むアレンはどうしてもロードを見上げる形になる。
光源の少ない森の中。佇むロードの表情は逆光で陰っている。
自然な動きでロードはアレンの顔に出来た小さな擦り傷のひとつに触れた。
触れた指先の温度は、アレンよりも少しだけ温かかった。
「羨ましかった?」
まったくもって真意の読めない言葉に、アレンは黙ってロードを見つめる。
「タマシイ。笑ってたんでしょ?」
思わず目を見張る。
ロードにとってのアクマは数ある玩具だ。どうやったってアレンのアクマを想う気持ちは理解できない。
脳裏に浮かんだのは、囚われた魂があるべき場所に還る前にアレンに残した言の葉。
「ううん。僕はまだやることがあるから」
開放は望んでいない。
それは本心で、少しだけ強がりだった。
「ロードこそ、羨ましいんじゃない?」
ちょっとした交ぜっ返しのつもりでアレンが返すと、ロードはそうかもねと笑った。
ぽかんとするアレンに構わず、小さな唇はゆっくりと紡ぐ。
「ボクらに、リタイアは許されていないんだ」
それが寂しそうに聞こえて、アレンは左手を伸ばした。
ティムはさっきからずっとピクリとも動かない。息を潜めて成り行きを見ている。
「僕らは、――」
――これから貴方を待ち受ける脅威に対して、私は祈ることしか出来ない。
背を預けられる人がいるのなら、その背を伸ばして、立ち向かって。
生き抜いてください。無責任だけれど、貴方にはそれができるのだから。
脅威と言われて思い浮かべるものなんて、とても片手では足りそうに無い。
それでも、やることは決まっている。
今出来る精一杯を。それがすべて。
「――僕らは生きているから」
ノアが憎むイノセンスの左手がロードに触れた。
「うん」
傷一つ無い浅黒い肌は、それを拒むことはしなかった。
その先は、二人とも言葉にしない。
ただ、物言わぬ金色のゴーレムだけが、その羽音を響かせた。
耳障りな砂嵐を何度か鳴らせて、イヤリング型の通信機が反応する。
それは終わりを告げる合図。
非日常から日常へ戻る鐘の音。
「・・・・・はい、アレンです」
『ウォーカー、いったいどこにいるんですか』
「えっと崖から落ちちゃって」
『崖!? どこか怪我は・・・』
答えようと口を開くと、その口が塞がれた。
一瞬の出来事。
唇に残る何かに触れた感触。思わずアレンが口元に手を当てたときには、少女の姿はどこにもなかった。
「・・・・・・・・!」
『ウォーカーどうしました? ウォーカー?』
通信機からは返事をせかすリンクの声。
息を吸って、吐いて、深呼吸。そうしてようやっと口を開く。
しばらくしてリンクがやってくるとのことで通信は切れた。
沈黙を守るティムをそっと見やる。
さっきまでの夢のような出来事は、まだアレンの中で鮮やかに残っている。
「羨ましかった?」
「・・・ううん。そんなことないよ」
だって誓った。大好きな養父にも。心の底では敬愛していた師にも。
精一杯生きることは難しいかもしれないけれど、やり遂げてみせると。
「行こうか、ティム。そろそろリンクが迎えに来る」
柔らかな木漏れ日を受けて、ティムは一度羽ばたいた。
天国は有料でさらに僕らは規定年齢にも達してないから
* * * * *
(お題元:h a z y)
久々の話。もはやリハビリ?
このあともだらだらと続くんですけど、終わらないのでばっさりカットしてしまいました。
ローアレが足りません。こんなんで冬眠できるかな・・・?
書きかけの文が消えました・・・。もう本当最後だったのに。
アレリナみたいなアレン+リナリーだったから慣れないことはするなってことですかね。
どこかのボタンを押したら記事の管理に戻っちゃって・・・。悲しい。
最近話を書いていないのでそのリハビリも兼ねていたのでけっこう酷い感じだったのですが、どんなものでも消えると悲しいです。
※「宇宙魚顚末記」とのダブルパロです。
空に突然巨大な魚が見えるようになったのは、ちょうど1週間くらい前のこと。
満天の星々の光をさえぎるように現れたそれは、だんだんと大きくなっていて、確実にこの星へ近づいているようだった。
もちろん怪奇には違いないし、それでなくともこんな事態を教団の優秀な科学班の人々が調べないわけがない。けれどそれによってわかったことは、どうやらイノセンスによる奇怪ではないらしいこと。それから、巨大な魚は宇宙をゆっくりと泳ぎ、計算が正しければあと3週間と少し、つまり魚が現れて1ヶ月で地球に激突するらしい。
けれどそんな事態にも関係無しにアクマは年中無休に活動中で、同じくエクソシストも年中無休でアクマを破壊しなければいけない。
そんなエクソシストのひとり、アレンは空を仰ぎ見た。
退魔の剣が左腕へと戻る。ところどころ傷のついた白いマントが、ざあっと風に煽られ消えていった。
今、空を見ればその姿を主張する魚がいることはわかっていたけれど、実際にそれを見てしまうとなんだか落胆した。
それでもじいっと見ていると魚がこっちを見た気がした。まだまだ消えてくれる気はないらしい。
アレンと魚の一方的な争いは、突然アレンが抱きつかれたことで終わりを迎えた。
「やっほーアレン! 何やってんのぉ」
「うわっ、ロード!」
背後から気配もなく抱きつかれ、慌てて衝撃にそなえる。
地面にぺたんと腰を降ろすと、ノアの少女は楽しそうに笑った。
「どうしてこんなところに?」
「それはこっちのセリフー。まあわかるけどねぇ。ボクはこれ」
ロードが紙をヒラヒラと見せる。何の紙かはパッと見ではわからない。
「それ、何?」
「宿題。つまんないの」
よく見てみると一番上に「星空の観察」と書かれている。アレンには縁のないもので首をかしげる。
ロードは学校の宿題だよ、と口を尖らせた。
学校。アレンの年頃には縁が深く、アレンにとっては想像でしかない場所。たぶん、他の若いエクソシストにとっても。
もしかしなくても、エクソシストよりもずっとノアのほうが「普通の人間生活」を満喫しているようで、アレンはちょっと複雑な気持ちになった。
「つまりスケッチみたいなものですか?」
「うん。ほら」
そんな気持ちを振り払うように尋ねると、ぺらんと薄い紙が渡された。
真っ暗な空間にでかでかと浮かぶ魚。空を覆い隠して、星は申し訳程度。
思わず空を見上げ確認。やっぱり魚は見えるが、ロードの描いた魚よりもずっと小さい。星たちだって、まだ小さな光で自分の存在を主張している。
「夏の大三角を観察しろって言われたんだけど面倒くさくってさぁ」
「・・・・そのために魚を空に出現させた、なんて言いませんよね?」
「まっさかー。むしろ千年公は不完全なイノセンスの暴走ってふんでるけど。対象が遠すぎるのとスケールが大きすぎるから断定は出来ないみたいだけどねぇ」
「あれはイノセンスは関係ないみたいですよ。って、教団はあれは伯爵が世界の終焉に踏み切った可能性が一番高いって言ってるんですけど」
「・・・・・・ねえ、これって」
「お互いに想定外の事態ってわけですか・・・」
とにかく、はっきりしたことがひとつ。
出現したときからやっかいだった魚は、今この瞬間にもっとやっかいな存在になったということだ。
続きます。
空に突然巨大な魚が見えるようになったのは、ちょうど1週間くらい前のこと。
満天の星々の光をさえぎるように現れたそれは、だんだんと大きくなっていて、確実にこの星へ近づいているようだった。
もちろん怪奇には違いないし、それでなくともこんな事態を教団の優秀な科学班の人々が調べないわけがない。けれどそれによってわかったことは、どうやらイノセンスによる奇怪ではないらしいこと。それから、巨大な魚は宇宙をゆっくりと泳ぎ、計算が正しければあと3週間と少し、つまり魚が現れて1ヶ月で地球に激突するらしい。
けれどそんな事態にも関係無しにアクマは年中無休に活動中で、同じくエクソシストも年中無休でアクマを破壊しなければいけない。
そんなエクソシストのひとり、アレンは空を仰ぎ見た。
退魔の剣が左腕へと戻る。ところどころ傷のついた白いマントが、ざあっと風に煽られ消えていった。
今、空を見ればその姿を主張する魚がいることはわかっていたけれど、実際にそれを見てしまうとなんだか落胆した。
それでもじいっと見ていると魚がこっちを見た気がした。まだまだ消えてくれる気はないらしい。
アレンと魚の一方的な争いは、突然アレンが抱きつかれたことで終わりを迎えた。
「やっほーアレン! 何やってんのぉ」
「うわっ、ロード!」
背後から気配もなく抱きつかれ、慌てて衝撃にそなえる。
地面にぺたんと腰を降ろすと、ノアの少女は楽しそうに笑った。
「どうしてこんなところに?」
「それはこっちのセリフー。まあわかるけどねぇ。ボクはこれ」
ロードが紙をヒラヒラと見せる。何の紙かはパッと見ではわからない。
「それ、何?」
「宿題。つまんないの」
よく見てみると一番上に「星空の観察」と書かれている。アレンには縁のないもので首をかしげる。
ロードは学校の宿題だよ、と口を尖らせた。
学校。アレンの年頃には縁が深く、アレンにとっては想像でしかない場所。たぶん、他の若いエクソシストにとっても。
もしかしなくても、エクソシストよりもずっとノアのほうが「普通の人間生活」を満喫しているようで、アレンはちょっと複雑な気持ちになった。
「つまりスケッチみたいなものですか?」
「うん。ほら」
そんな気持ちを振り払うように尋ねると、ぺらんと薄い紙が渡された。
真っ暗な空間にでかでかと浮かぶ魚。空を覆い隠して、星は申し訳程度。
思わず空を見上げ確認。やっぱり魚は見えるが、ロードの描いた魚よりもずっと小さい。星たちだって、まだ小さな光で自分の存在を主張している。
「夏の大三角を観察しろって言われたんだけど面倒くさくってさぁ」
「・・・・そのために魚を空に出現させた、なんて言いませんよね?」
「まっさかー。むしろ千年公は不完全なイノセンスの暴走ってふんでるけど。対象が遠すぎるのとスケールが大きすぎるから断定は出来ないみたいだけどねぇ」
「あれはイノセンスは関係ないみたいですよ。って、教団はあれは伯爵が世界の終焉に踏み切った可能性が一番高いって言ってるんですけど」
「・・・・・・ねえ、これって」
「お互いに想定外の事態ってわけですか・・・」
とにかく、はっきりしたことがひとつ。
出現したときからやっかいだった魚は、今この瞬間にもっとやっかいな存在になったということだ。
続きます。
窓から射しこむ月光に浮かぶ積み上げられた本の山に、新たに色あせた厚みのある本を乗せる。
とんとん、とラビはこった肩を叩いて大きく伸びをした。
長時間同じ体勢でいたからかパキポキとあちこちから大袈裟な音が鳴る。
「あー真っ暗。今何時さ」
「もうすぐ2時ですよ」
返事を期待していなかった問いに返ってきた答え。
いつのまにかランプを抱えたアレンが傍にやってきていた。
「こんばんはラビ。隣いいですか?」
「どーぞ。任務帰りでもないのにこんな時間まで起きてるなんて珍しいさ。眠れねえの?」
「いいえ。さっきまでぐっすりでした」
夕方からずっと。そう続けられ、そういえば夕飯時にリナリーからアレンを見なかったか聞かれたな、と思い出した。
「だったらお腹すいてんだろ。食堂はあっちだぞ」
「食堂にはもう行ってきました。僕のご飯が作ってあって。ジェリーさん大好きです」
「よかったなー」
「で、大浴場に向かおうとして」
「英国紳士さね」
「ティムは部屋で寝てるから起こしちゃかわいそうだし、そう思ったら迷うし。気がついたらこんな時間だし、で3時までここでラビと時間をつぶそうかなって」
「なんで3時までなんさ?」
「だってもうすぐ草木も眠る丑三つ時じゃないですか! 一番幽霊が出やすい時間だって昔師匠におどされました」
「アレン、エクソシストやってて幽霊が怖いんか?」
「・・・・・・ちょっと夢見が悪くて」
そう言ってアレンは黙り込んだ。
ランプに照らされた白い髪をぽんぽんと撫でてやり、話してみ、とお兄さんぶる。
おずおずとアレンは口を開いた。
「早朝、皆はまだ寝てるみたいで僕だけ起き上がるんです」
「廊下を歩いていたら、師匠みたいな仮面をつけた男の子に会って」
「おはようって挨拶したらおはようって返されて。でも教団にこんな子いたっけって思っていたら」
「男の子が突然僕の首を絞めて。そこで目が覚めました」
・・・・・怖っ。
「あー、うん。アレン。大丈夫、ただの夢さ」
「わかっているんですけど・・・」
あの仮面が・・・、と言われて、そっち?、と問い返す。
そのとき、コチッという音がやけに大きく響いた。
どこにあるかわからない時計の長針が12をさしたのだろう。そして短針は2をさして。
キィッとドアノブが回る音がした。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
トン、トン、と大人にしては軽い足音。
ゆっくりと近づいてきている。
暗闇の中で思わずラビとアレンは引っ付きあった。
トン、トン、トン
ピタッと止まった足音。
ランプがわずかに照らすぼやぼやした空間に、浮かぶ影は子供の背丈ほどの・・・。
「「うわああああああああっ!!」」
「なんじゃい騒々しいっ!」
叫び声に負けないブックマンの怒声が響き、ラビとアレンは思わず顔を見合わせた。
「びっくり、した・・・」
「まったくさ・・・」
ブックマンはいつまでたっても部屋に戻らない弟子の様子を見にやってきてくれたらしい。
半泣きになっている二人にお説教をして、フンと怒ったようにしている。
「大浴場は明日にしよう。な?」
「そうしましょう。あの、つきあってくださいね」
「もちろんさ」
それじゃおやすみーと言って別れる。
ラビは前を歩くブックマンの隣へ行く。
「ところでお前たち誰といたんじゃ?」
「へ? オレとアレンだろ」
「いやお前と小僧とその隣に。・・・さっき手を振っていたぞ?」
ラビは思わず歩みを止めた。
「じじい勘弁してくれさ・・・」
声変わりする前の少年のようなアルトの笑い声がかすかに聞こえた気がした。
* * * * *
私の見た怖い夢。首を軽く絞められてビックリして起きましたが力が強くなかったので驚かせたかっただけかもしれません。怖いのは苦手なので勘弁してほしいですが。
時系列としては初期あたり。孤城の吸血鬼編のビクビクしているかわいいイメージです。
とんとん、とラビはこった肩を叩いて大きく伸びをした。
長時間同じ体勢でいたからかパキポキとあちこちから大袈裟な音が鳴る。
「あー真っ暗。今何時さ」
「もうすぐ2時ですよ」
返事を期待していなかった問いに返ってきた答え。
いつのまにかランプを抱えたアレンが傍にやってきていた。
「こんばんはラビ。隣いいですか?」
「どーぞ。任務帰りでもないのにこんな時間まで起きてるなんて珍しいさ。眠れねえの?」
「いいえ。さっきまでぐっすりでした」
夕方からずっと。そう続けられ、そういえば夕飯時にリナリーからアレンを見なかったか聞かれたな、と思い出した。
「だったらお腹すいてんだろ。食堂はあっちだぞ」
「食堂にはもう行ってきました。僕のご飯が作ってあって。ジェリーさん大好きです」
「よかったなー」
「で、大浴場に向かおうとして」
「英国紳士さね」
「ティムは部屋で寝てるから起こしちゃかわいそうだし、そう思ったら迷うし。気がついたらこんな時間だし、で3時までここでラビと時間をつぶそうかなって」
「なんで3時までなんさ?」
「だってもうすぐ草木も眠る丑三つ時じゃないですか! 一番幽霊が出やすい時間だって昔師匠におどされました」
「アレン、エクソシストやってて幽霊が怖いんか?」
「・・・・・・ちょっと夢見が悪くて」
そう言ってアレンは黙り込んだ。
ランプに照らされた白い髪をぽんぽんと撫でてやり、話してみ、とお兄さんぶる。
おずおずとアレンは口を開いた。
「早朝、皆はまだ寝てるみたいで僕だけ起き上がるんです」
「廊下を歩いていたら、師匠みたいな仮面をつけた男の子に会って」
「おはようって挨拶したらおはようって返されて。でも教団にこんな子いたっけって思っていたら」
「男の子が突然僕の首を絞めて。そこで目が覚めました」
・・・・・怖っ。
「あー、うん。アレン。大丈夫、ただの夢さ」
「わかっているんですけど・・・」
あの仮面が・・・、と言われて、そっち?、と問い返す。
そのとき、コチッという音がやけに大きく響いた。
どこにあるかわからない時計の長針が12をさしたのだろう。そして短針は2をさして。
キィッとドアノブが回る音がした。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
トン、トン、と大人にしては軽い足音。
ゆっくりと近づいてきている。
暗闇の中で思わずラビとアレンは引っ付きあった。
トン、トン、トン
ピタッと止まった足音。
ランプがわずかに照らすぼやぼやした空間に、浮かぶ影は子供の背丈ほどの・・・。
「「うわああああああああっ!!」」
「なんじゃい騒々しいっ!」
叫び声に負けないブックマンの怒声が響き、ラビとアレンは思わず顔を見合わせた。
「びっくり、した・・・」
「まったくさ・・・」
ブックマンはいつまでたっても部屋に戻らない弟子の様子を見にやってきてくれたらしい。
半泣きになっている二人にお説教をして、フンと怒ったようにしている。
「大浴場は明日にしよう。な?」
「そうしましょう。あの、つきあってくださいね」
「もちろんさ」
それじゃおやすみーと言って別れる。
ラビは前を歩くブックマンの隣へ行く。
「ところでお前たち誰といたんじゃ?」
「へ? オレとアレンだろ」
「いやお前と小僧とその隣に。・・・さっき手を振っていたぞ?」
ラビは思わず歩みを止めた。
「じじい勘弁してくれさ・・・」
声変わりする前の少年のようなアルトの笑い声がかすかに聞こえた気がした。
* * * * *
私の見た怖い夢。首を軽く絞められてビックリして起きましたが力が強くなかったので驚かせたかっただけかもしれません。怖いのは苦手なので勘弁してほしいですが。
時系列としては初期あたり。孤城の吸血鬼編のビクビクしているかわいいイメージです。