基本はネタ帳。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
※「宇宙魚顚末記」とのダブルパロです。
空に突然巨大な魚が見えるようになったのは、ちょうど1週間くらい前のこと。
満天の星々の光をさえぎるように現れたそれは、だんだんと大きくなっていて、確実にこの星へ近づいているようだった。
もちろん怪奇には違いないし、それでなくともこんな事態を教団の優秀な科学班の人々が調べないわけがない。けれどそれによってわかったことは、どうやらイノセンスによる奇怪ではないらしいこと。それから、巨大な魚は宇宙をゆっくりと泳ぎ、計算が正しければあと3週間と少し、つまり魚が現れて1ヶ月で地球に激突するらしい。
けれどそんな事態にも関係無しにアクマは年中無休に活動中で、同じくエクソシストも年中無休でアクマを破壊しなければいけない。
そんなエクソシストのひとり、アレンは空を仰ぎ見た。
退魔の剣が左腕へと戻る。ところどころ傷のついた白いマントが、ざあっと風に煽られ消えていった。
今、空を見ればその姿を主張する魚がいることはわかっていたけれど、実際にそれを見てしまうとなんだか落胆した。
それでもじいっと見ていると魚がこっちを見た気がした。まだまだ消えてくれる気はないらしい。
アレンと魚の一方的な争いは、突然アレンが抱きつかれたことで終わりを迎えた。
「やっほーアレン! 何やってんのぉ」
「うわっ、ロード!」
背後から気配もなく抱きつかれ、慌てて衝撃にそなえる。
地面にぺたんと腰を降ろすと、ノアの少女は楽しそうに笑った。
「どうしてこんなところに?」
「それはこっちのセリフー。まあわかるけどねぇ。ボクはこれ」
ロードが紙をヒラヒラと見せる。何の紙かはパッと見ではわからない。
「それ、何?」
「宿題。つまんないの」
よく見てみると一番上に「星空の観察」と書かれている。アレンには縁のないもので首をかしげる。
ロードは学校の宿題だよ、と口を尖らせた。
学校。アレンの年頃には縁が深く、アレンにとっては想像でしかない場所。たぶん、他の若いエクソシストにとっても。
もしかしなくても、エクソシストよりもずっとノアのほうが「普通の人間生活」を満喫しているようで、アレンはちょっと複雑な気持ちになった。
「つまりスケッチみたいなものですか?」
「うん。ほら」
そんな気持ちを振り払うように尋ねると、ぺらんと薄い紙が渡された。
真っ暗な空間にでかでかと浮かぶ魚。空を覆い隠して、星は申し訳程度。
思わず空を見上げ確認。やっぱり魚は見えるが、ロードの描いた魚よりもずっと小さい。星たちだって、まだ小さな光で自分の存在を主張している。
「夏の大三角を観察しろって言われたんだけど面倒くさくってさぁ」
「・・・・そのために魚を空に出現させた、なんて言いませんよね?」
「まっさかー。むしろ千年公は不完全なイノセンスの暴走ってふんでるけど。対象が遠すぎるのとスケールが大きすぎるから断定は出来ないみたいだけどねぇ」
「あれはイノセンスは関係ないみたいですよ。って、教団はあれは伯爵が世界の終焉に踏み切った可能性が一番高いって言ってるんですけど」
「・・・・・・ねえ、これって」
「お互いに想定外の事態ってわけですか・・・」
とにかく、はっきりしたことがひとつ。
出現したときからやっかいだった魚は、今この瞬間にもっとやっかいな存在になったということだ。
続きます。
空に突然巨大な魚が見えるようになったのは、ちょうど1週間くらい前のこと。
満天の星々の光をさえぎるように現れたそれは、だんだんと大きくなっていて、確実にこの星へ近づいているようだった。
もちろん怪奇には違いないし、それでなくともこんな事態を教団の優秀な科学班の人々が調べないわけがない。けれどそれによってわかったことは、どうやらイノセンスによる奇怪ではないらしいこと。それから、巨大な魚は宇宙をゆっくりと泳ぎ、計算が正しければあと3週間と少し、つまり魚が現れて1ヶ月で地球に激突するらしい。
けれどそんな事態にも関係無しにアクマは年中無休に活動中で、同じくエクソシストも年中無休でアクマを破壊しなければいけない。
そんなエクソシストのひとり、アレンは空を仰ぎ見た。
退魔の剣が左腕へと戻る。ところどころ傷のついた白いマントが、ざあっと風に煽られ消えていった。
今、空を見ればその姿を主張する魚がいることはわかっていたけれど、実際にそれを見てしまうとなんだか落胆した。
それでもじいっと見ていると魚がこっちを見た気がした。まだまだ消えてくれる気はないらしい。
アレンと魚の一方的な争いは、突然アレンが抱きつかれたことで終わりを迎えた。
「やっほーアレン! 何やってんのぉ」
「うわっ、ロード!」
背後から気配もなく抱きつかれ、慌てて衝撃にそなえる。
地面にぺたんと腰を降ろすと、ノアの少女は楽しそうに笑った。
「どうしてこんなところに?」
「それはこっちのセリフー。まあわかるけどねぇ。ボクはこれ」
ロードが紙をヒラヒラと見せる。何の紙かはパッと見ではわからない。
「それ、何?」
「宿題。つまんないの」
よく見てみると一番上に「星空の観察」と書かれている。アレンには縁のないもので首をかしげる。
ロードは学校の宿題だよ、と口を尖らせた。
学校。アレンの年頃には縁が深く、アレンにとっては想像でしかない場所。たぶん、他の若いエクソシストにとっても。
もしかしなくても、エクソシストよりもずっとノアのほうが「普通の人間生活」を満喫しているようで、アレンはちょっと複雑な気持ちになった。
「つまりスケッチみたいなものですか?」
「うん。ほら」
そんな気持ちを振り払うように尋ねると、ぺらんと薄い紙が渡された。
真っ暗な空間にでかでかと浮かぶ魚。空を覆い隠して、星は申し訳程度。
思わず空を見上げ確認。やっぱり魚は見えるが、ロードの描いた魚よりもずっと小さい。星たちだって、まだ小さな光で自分の存在を主張している。
「夏の大三角を観察しろって言われたんだけど面倒くさくってさぁ」
「・・・・そのために魚を空に出現させた、なんて言いませんよね?」
「まっさかー。むしろ千年公は不完全なイノセンスの暴走ってふんでるけど。対象が遠すぎるのとスケールが大きすぎるから断定は出来ないみたいだけどねぇ」
「あれはイノセンスは関係ないみたいですよ。って、教団はあれは伯爵が世界の終焉に踏み切った可能性が一番高いって言ってるんですけど」
「・・・・・・ねえ、これって」
「お互いに想定外の事態ってわけですか・・・」
とにかく、はっきりしたことがひとつ。
出現したときからやっかいだった魚は、今この瞬間にもっとやっかいな存在になったということだ。
続きます。
PR
この記事にコメントする