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 正直放置しすぎて、未送信メールを引っ張り出すのも一苦労です。
 むしろ読み返すとなんだか新鮮。私、ラビアレ書けたんだ。

 やっとのことで第5話です。話が進まない・・・。




 アレンの中から14番目と呼ばれたノアがいなくなり、同時に奏者の資格が消えてしまうと、方舟は静かに活動を停止した。
 かつて江戸でノアと戦ったときのように、白い方舟は跡形もなく消滅していく。
 いつの間にか当たり前となってしまっていた移動手段が潰えたことで、バチカンや中央庁といった上層部は非常に戸惑ったらしい。
 方舟を手に入れる前と同じように、移動は列車で。
 確実な判断や迅速な行動とは程遠い移動手段。
 アレンはそのことを少し申し訳なく思ったが、コムイたちは(未知の科学力に瞳を輝かせた科学班でさえも)、あるべき姿に戻ったんだと微笑んだ。
 科学班は相変わらず忙しそうだが、聖戦の終わった今、アクマもほとんどがレベル1。エクソシストをそれほど手こずらせることなく、着実にその数は減っていっている。“平和な未来”は御伽話だけのものではなかった。
 危機がなくなった世界では必要のなくなった武器が消えることも、あるべき姿に戻るためには必要なことなんだろう。
 コムイが帰った後で、病室の嫌になるほど白いベッドに身を預けながら、アレンはそんなことを思った。

 ラビが教団に戻ってきたのは、それから2日後のことだった。

 *

 いくら倒れたといってもそれはイノセンスを酷使したせいで、まだ日常生活に異常をきたすわけじゃない。
 そんなわけで一日で病室を引き払い、アレンはティムキャンピーと一緒に談話室にいた。
 いつだって人がいて、アレン自身も何度もここでみんなと笑いあった。だからアレンは談話室が好きだ。
 小さなテーブルには黄色の花瓶にリナリーが活けてくれた赤い花。
 よく見ると、くてんと萎れてきてしまっている。
「困ったな・・・。水を換えればいいのかな。ねえ、ティム」
 同意を求めるが、気まぐれな金のゴーレムはそっぽを向いた。
「もう」
 ティムキャンピーは最近どうも機嫌が悪い。
 アレンが話しかけても、今のようにそっぽを向いてそしらぬフリをする。
「拗ねてるのか?」
「・・・・・・・・」
 ティムは答えない。
 どうしたものかと考え、ふとアレンは顔を上げた。
 足音が近づいてきている。
 焦ったような早足。なんとなく、やってくる人物がわかった。
「アレン!」
 ほら、やっぱり。
 白と黒の世界で鮮やかな、アレンの好きな明るい赤毛。
 探し回ってくれたんだろう。肩で息をするラビに部屋にいればよかったと、ちくりと罪悪感を抱きながらアレンは迎え入れる言葉を言う。
「おかえりなさいラビ。怪我はなかった?」
「バッカ、アレン、お前、お前が倒れて、目、覚まさなくて、オレがどんだけ心配したと・・・・・!」
「うん。ご心配おかけしました」
 もう大丈夫だから、と宥めると、ラビはようやく力を抜いた。
 ふうっと息をついて、ラビは銀灰の目を覗きこむ。
「本当にもう大丈夫なんさね? ただ疲れが溜まっていただけって信じていいさ?」
 新緑の柔らかな隻眼からは心配と優しさと愛情が伝わってくる。
 一瞬。本当に一瞬、本当のことを打ち明けてしまいたくなった。

「・・・・はい。本当にただの一過性のものでした。ラビってば心配性ですね」
 でも、それでどうする。ラビを真実という不安で縛りつけるつもりか?
 そんなのは嫌だった。
 ごめん。ごめんね、ラビ。
 謝罪も胸の痛みも何もかもを仮面の下に押し込んで、いつも通りを装う。

 ティムの機嫌は、ずっと悪いままだった。


 

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