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 窓から射しこむ月光に浮かぶ積み上げられた本の山に、新たに色あせた厚みのある本を乗せる。
 とんとん、とラビはこった肩を叩いて大きく伸びをした。
 長時間同じ体勢でいたからかパキポキとあちこちから大袈裟な音が鳴る。
「あー真っ暗。今何時さ」
「もうすぐ2時ですよ」
 返事を期待していなかった問いに返ってきた答え。
 いつのまにかランプを抱えたアレンが傍にやってきていた。
「こんばんはラビ。隣いいですか?」
「どーぞ。任務帰りでもないのにこんな時間まで起きてるなんて珍しいさ。眠れねえの?」
「いいえ。さっきまでぐっすりでした」
 夕方からずっと。そう続けられ、そういえば夕飯時にリナリーからアレンを見なかったか聞かれたな、と思い出した。
「だったらお腹すいてんだろ。食堂はあっちだぞ」
「食堂にはもう行ってきました。僕のご飯が作ってあって。ジェリーさん大好きです」
「よかったなー」
「で、大浴場に向かおうとして」
「英国紳士さね」
「ティムは部屋で寝てるから起こしちゃかわいそうだし、そう思ったら迷うし。気がついたらこんな時間だし、で3時までここでラビと時間をつぶそうかなって」
「なんで3時までなんさ?」
「だってもうすぐ草木も眠る丑三つ時じゃないですか! 一番幽霊が出やすい時間だって昔師匠におどされました」
「アレン、エクソシストやってて幽霊が怖いんか?」
「・・・・・・ちょっと夢見が悪くて」
 そう言ってアレンは黙り込んだ。
 ランプに照らされた白い髪をぽんぽんと撫でてやり、話してみ、とお兄さんぶる。
 おずおずとアレンは口を開いた。
「早朝、皆はまだ寝てるみたいで僕だけ起き上がるんです」
「廊下を歩いていたら、師匠みたいな仮面をつけた男の子に会って」
「おはようって挨拶したらおはようって返されて。でも教団にこんな子いたっけって思っていたら」
「男の子が突然僕の首を絞めて。そこで目が覚めました」
 ・・・・・怖っ。
「あー、うん。アレン。大丈夫、ただの夢さ」
「わかっているんですけど・・・」
 あの仮面が・・・、と言われて、そっち?、と問い返す。
 そのとき、コチッという音がやけに大きく響いた。
 どこにあるかわからない時計の長針が12をさしたのだろう。そして短針は2をさして。
 キィッとドアノブが回る音がした。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
 トン、トン、と大人にしては軽い足音。
 ゆっくりと近づいてきている。
 暗闇の中で思わずラビとアレンは引っ付きあった。
 トン、トン、トン
 ピタッと止まった足音。
 ランプがわずかに照らすぼやぼやした空間に、浮かぶ影は子供の背丈ほどの・・・。
「「うわああああああああっ!!」」

「なんじゃい騒々しいっ!」
 叫び声に負けないブックマンの怒声が響き、ラビとアレンは思わず顔を見合わせた。



「びっくり、した・・・」
「まったくさ・・・」
 ブックマンはいつまでたっても部屋に戻らない弟子の様子を見にやってきてくれたらしい。
 半泣きになっている二人にお説教をして、フンと怒ったようにしている。
「大浴場は明日にしよう。な?」
「そうしましょう。あの、つきあってくださいね」
「もちろんさ」
 それじゃおやすみーと言って別れる。
 ラビは前を歩くブックマンの隣へ行く。
「ところでお前たち誰といたんじゃ?」
「へ? オレとアレンだろ」
「いやお前と小僧とその隣に。・・・さっき手を振っていたぞ?」
 ラビは思わず歩みを止めた。
「じじい勘弁してくれさ・・・」
 声変わりする前の少年のようなアルトの笑い声がかすかに聞こえた気がした。


* * * * *
 私の見た怖い夢。首を軽く絞められてビックリして起きましたが力が強くなかったので驚かせたかっただけかもしれません。怖いのは苦手なので勘弁してほしいですが。
 時系列としては初期あたり。孤城の吸血鬼編のビクビクしているかわいいイメージです。
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