基本はネタ帳。
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病室には機会の単調で無機質な命をかろうじて繋ぎとめている音と、白いベッドに力なく横たわる少女の苦しげな呼吸だけが響く。
ふと、傍らに何かの気配を感じ、少女はどうにか重いまぶたを持ち上げた。
不思議だった。視力も弱り自分を生かしている機会もおぼろげ。なのに、横に立つ人影ははっきりと見えた。
黒いフードの隙間から白い髪がのぞいている。奇妙な少年。
少女はかすれた声で問いかけた。
「死神さん?」
白い髪の少年は何も答えなかったが、少女はそれを肯定ととった。
「わたし、死んじゃうの?」
「・・・・・・・」
「いやだなぁ。まだ、生きてたい。お父さんが悲しむもん。お母さんも。
・・・不思議。喋るのが苦しくないね。ねぇ死神さん、向こうはどんなところ?」
「とても、安らかな場所です。君を脅かす脅威もなければ、君の心を躍らせる出来事もない。良くも悪くも安寧な場所です」
聞こえた声は穏やかでどこか中性的な優しい声。少女はなんとなくほっとした。
けれど。
「死にたくないな・・・」
やがて身体がふっと軽くなった。
不思議と未練はもうない。
少年は光へと姿を変え、少女の魂を導いた。
「さあ行きなさい。君が輪廻の輪に乗って再び命を得、再び生をまっとうする日にまた相見えんことを」
言霊に包まれ、翼を得た魂はまっすぐにあるべき場所へ進む。
それを見届けると光はもう一度少年の姿をとり、少女の魂のために黙祷を捧げた。
病室を出ると、急いで今少年が出てきた病室へ駆け込む男性が目に入り、胸が痛んだ。
すれ違う人々は誰も少年を気に止めない。
あてもなく歩き、人がいなくなったところで通信機を起動させた。
「―――もしもし、こちらALLEN」
これは、死神の少年と、ある青年が過ごした奇妙な日々の記録。
数日間の白昼夢のような物語。
ふと、傍らに何かの気配を感じ、少女はどうにか重いまぶたを持ち上げた。
不思議だった。視力も弱り自分を生かしている機会もおぼろげ。なのに、横に立つ人影ははっきりと見えた。
黒いフードの隙間から白い髪がのぞいている。奇妙な少年。
少女はかすれた声で問いかけた。
「死神さん?」
白い髪の少年は何も答えなかったが、少女はそれを肯定ととった。
「わたし、死んじゃうの?」
「・・・・・・・」
「いやだなぁ。まだ、生きてたい。お父さんが悲しむもん。お母さんも。
・・・不思議。喋るのが苦しくないね。ねぇ死神さん、向こうはどんなところ?」
「とても、安らかな場所です。君を脅かす脅威もなければ、君の心を躍らせる出来事もない。良くも悪くも安寧な場所です」
聞こえた声は穏やかでどこか中性的な優しい声。少女はなんとなくほっとした。
けれど。
「死にたくないな・・・」
やがて身体がふっと軽くなった。
不思議と未練はもうない。
少年は光へと姿を変え、少女の魂を導いた。
「さあ行きなさい。君が輪廻の輪に乗って再び命を得、再び生をまっとうする日にまた相見えんことを」
言霊に包まれ、翼を得た魂はまっすぐにあるべき場所へ進む。
それを見届けると光はもう一度少年の姿をとり、少女の魂のために黙祷を捧げた。
病室を出ると、急いで今少年が出てきた病室へ駆け込む男性が目に入り、胸が痛んだ。
すれ違う人々は誰も少年を気に止めない。
あてもなく歩き、人がいなくなったところで通信機を起動させた。
「―――もしもし、こちらALLEN」
これは、死神の少年と、ある青年が過ごした奇妙な日々の記録。
数日間の白昼夢のような物語。
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