基本はネタ帳。
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あさってたら何か出てきた! そんなグリーンレクイエムパロディ。
パラレルシリーズもの予定。
以下注意点。
・パラレルです。
・現代日本のつもり。
・「グリーンレクイエム」および「緑幻想」とは結末違います。
・アレンの髪が長くてもかまわない!
・アレンがロードとティキと伯爵と暮らしてても別に良い!
・ティッキャメ要素がもしかしたらあるかもしれないし無いかもしれないけれど大丈夫だ!
・CPがなくても平気だし、また手違いでアレンが誰かとくっつくようなことがあっても受け入れられる!
・ジャスデビが名前だけの登場の上、故人だとしても秋桜を恨むだけだ、問題ない!
・アレンとロードとティキとジャスデビたちが人間じゃないと聞いても興味がある!
以上のいささか豪気すぎる方(※褒めています)は追記よりどうぞ。
(一番古い記憶はピアノのような甘く、哀しい旋律)
(かえりたい、かえりたいよ)
(帰る場所なんて在りはしないのに)
穏やかなピアノの調べが店の中にゆっくりと流れていく。
CDやMDの類ではない生の演奏は特別に上手いわけでもなかったが、奏でられるどこか優しい音色にティキは目を細めた。
店の奥にあるのは白いピアノ。鍵盤の上を白い手が滑っていく。
ピアノを弾いているのは白く長い髪をした、ティキの弟であるアレン。古本屋でのアレンの生演奏はちょっとした名物だった。もっともこの古本屋に足を運ぶ人物は自然と限られているのだけど。
古本屋と、白いピアノが奏でる旋律。まったくちぐはぐに思えるのにアレンが弾くととたんに二つは調和する。
どこか懐かしいメロディーと色あせた本は郷愁を誘う。
やがて消えた伴奏に、ティキは不思議そうにアレンを見る。記憶が正しければもう少し続くはずと思ったのだが。
「・・・・ティキ、お客さんです」
アレンのあきれたような声にティキはやっと目の前の客に気がついた。
燃えるような髪に、右目に眼帯。酷く特徴的な青年だ。ティキよりも年下だろう。記憶にない人物だ。
しまった、と思いながら苦笑する青年から本を受け取り、レジを打つ。常連ならばティキがピアノに聞き入っていてもわざわざ曲が終わるまで待ってくれるからと油断した。
「悪いね、眼帯君。君、初めてだろう?」
「あーなんかオレこそ邪魔しちゃってすみません。ピアノと本の匂いにつられて来ました」
「敬語とか固っくるしいしいいよしなくて。オレもこんなかんじだし」
「ティキは気にしなさすぎなんです。すみません、お客さん」
アレンがティキの隣に行き、ペコリと青年に向かって頭を下げると、青年はくったくのない笑みを見せた。
「いいって、気にすんなさ。ところでさ・・・」
青年はここで一度句切って、遠慮がちに切り出した。
ああ、来るなと思いアレンは先に口を開く。
「この髪は地毛ですよ。それと、ティキ――店長とは兄弟なんです。・・・似てないですけど」
「あ、そうなんだ。あともう一つ聞いていい?」
「なんでしょう?」
「名前を教えてもらっていいさ? お嬢さん」
青年が笑いながら言って、ちょうど3秒後。ぽかんとしていたアレンとティキはそれぞれリアクションを見せた。
「ぼっ、僕は男ですーーーーッッ!!」
怒りで顔を赤くしたアレンが青年にくってかかる間、ティキは腹を抱えて爆笑していた。涙まで浮かべている。
穏やかな陽のさすこの日。
誰も気づかないうちに、種は蒔かれた。
お題元:Vacant Vacancy
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