基本はネタ帳。
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亀の歩みでのろのろ更新中。
携帯の未送信メールがぐずぐずしているうちに14通になっていました。パソコンに移すの遅い^^
やっと話が進む第4話。急展開すぎるとは自分でもわかっています。
まるで水底を漂っていたような、そんな静謐な世界の中にいた。
そこから何かに導かれるように急激に意識が浮上する。
まぶたを押し上げれば、心配そうなコムイの姿があった。
「あれ、コムイさん、僕・・・?」
「・・・よかった、目が覚めたんだねアレンくん。何かだるいとか、悪いところはないかい?
ラビもいたんだけどね、ついさっき任務が入って行ってしまったんだ」
「そうだ任務・・・!」
「君はアクマをすべて破壊し、発動を解いたところで倒れたらしい。君を運んできたファインダーの証言だよ」
「・・・・・・・・・」
そうだ。思い出した。
「原因は外傷なんかじゃない」
いつのまにか淡々と話すコムイの表情は窺えない。
ただ沈みかけの太陽が漏らす光はぼんやりとした蛍光灯よりもずっと明るくて、逆光にいるコムイの白い十字架が緋く染まっているのが見えた。
続く言葉は薄々とわかっている。
それだけにコムイの苦しそうな様子と、それでも立場上告げなくてはいけないという葛藤が伝わってきて、アレンは心許ない白いベッドで拳を固く握った。
「君は、寄生型は、総じて短命なんだ。
もっとはっきりと言ってしまえば、アレンくん、君にはあまり時間が残されていない」
覚悟。そう、覚悟ならしていた。
思わず脳裏をよぎったのは明るい髪をした彼のこと。
「・・・・・・ラビは」
気がついたら口走っていた。
「・・ラビにはまだ伝えていないよ」
「よかった。・・・コムイさん、ラビにはこのことを秘密にしておいてくれませんか?」
「どうしてだい? 彼は君にとって、」
「だから、です」
赤い左手がシーツに皺をつくる。
どんなに異形でもこれはアレンの腕で。そのことを嘆く気持ちなんてこれっぽちもない。
そういえば、彼はこの赤い腕が好きだと笑った。アレンの強くて優しい手なのだから誇っていい、と。
絡めることで分けあった体温は、あたたかかった。
「・・・・ラビはきっと僕の傍にいようとするから。自惚れでなく、風のように自由な彼を同情によって縛りつけてしまうのは嫌なんです。
それにラビはいつかホームを、教団を去ります。最後の思い出は綺麗なものであってほしい。病からの気弱を彼は受け止めてくれるだろうけど、僕が堪えきれないんだ。
どこまでも自分勝手な、でも精一杯の虚勢です。・・・・・お願いします」
太陽の残光は、もう跡形もなく消えてしまった。無機質な蛍光灯が二人をさらし出す。
顔を上げればコムイは予想通り痛みをどうにかして堪えようとする顔をしていた。
アレンは黙って頭を下げた。
「・・・・・・わかったよ」
「すみません。ありがとうございます。・・・あと、」
「任務をこなしたいと言うんだろう? それが命を縮めるとわかっていても」
「・・・・・・養父との約束なんです」
ごめんなさい。きっと優しい人だから僕はあなたを苦しませる。
ごめんなさい。みんなはこんな僕のために純粋に悲しむだろう。
ごめんなさい。それでも最後までみんなが知っている通りの“アレン・ウォーカー"でいたいから。
ごめんなさい。君を裏切るつもりなんてないんだ。
謝罪と祈りは尽きない。
アレンの伏せた睫毛がそっと影を落とす。
やがてアレンは目線を上げて、コムイに訴えかけた。
いつだって真っ直ぐに射抜く強い瞳を、いったい誰が裏切れるだろう?
コムイは悲しみを溶かした厳しい目をしながらも、一度だけ頷いた。
アレンはほっとしたように、嬉しそうに微笑んだ。
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