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あやしの森と一週間お題の後日談に当たる神田とアレン話。
書きかけなので唐突に切れます。暇で仕方ない人だけどうぞ。
(一応続き書いてみました。なんか微妙なかんじです)
コンコンとノックの音がした。玄関ではなく、窓から。
神田がそちらを見やれば予想通り透明なガラスを隔てた先でこちらを覗く大きな銀灰の眼と視線がかちあう。
ぱっと顔を輝かせた子供――アレンに、何の用だと窓を開けた。
すかさずアレンは靴を脱ぎ神田の家へとあがりこんだ。
「お邪魔しまーす」
「帰れモヤシ」
一蹴。
「ひどい。菓子折り持ってきたのに。一緒に食べようよ神田」
「ブックマンはまた外泊か? リナリーのとこにでもいけばいいだろ」
「うん。なんかすごい賞をとったんだって。リナリーはコムイさんとお出かけ。ということで今日一日よろしくおねがいします」
「一日くらい留守番できんだろ」
「神田ーこのおせんべい食べていいですかー?」
「聞けよ」
「だってブックマンと約束しちゃったんだもん」
そうだった。神田はため息をぐっとこらえた。どこからかやってきたこのアレンという子供には、兄貴分を自称するラビや世話好きのリナリーはもちろん、厳しいといわれるブックマンまでどこか甘いのだった。
そのしわ寄せが自分のところにくるのは神田にとっておおいに不満であったが。
「・・・・・余計なことはすんなよ。妙なことしたら追い出す」
「ありがとう神田!」
結局流されてしまうのは自分も毒されたのかもしれない。神田はアレンに見えないよう自嘲気味に笑った。
なんだかんだで昼をすませ、だらだらと2人でブックマンから預かった菓子折りを食べる。
上品な甘さの羊羹を咀嚼していると横からもぐもぐと口を動かしたままアレンが神田に問いかけた。
「ところでカンダ、」
「口のものを飲み込んでから喋れ。行儀悪い」
「・・・・ん、もう食べた。で、前から聞きたかったんですけど」
「?」
「“モヤシ”って何ですか?」
「・・・・・・・」
「・・・神田?」
「・・・もやしっ子」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
しばし沈黙。
「ちょっと! 僕のどこがもやしっ子なんですか!」
「ひょろっちくて甘ったれでピッタリじゃねェか」
「なっ! そっちこそパッツンポニーの蕎麦まみれで、えーっと、フンドシ太郎のくせにっ!」
「はいてねぇよ! いったい誰から吹きこまれた!?」
「リナリーだけど」
「あいつ・・・・っ」
アレンの姉貴分を自称するリナリーは、時々アレンにあることないこと吹きこんでいく。
それは神田と衝突するもののなかなか敵わないアレンを不憫に思ってか、単に面白がってか。
どちらにしろ神田にとってはいい迷惑だ。
ちなみに現在都会にいるラビがアレンが(ある特定の人物にだけ)口汚くなってきたことを知ったらおおいに嘆くだろうが、そっちは神田の知ったこっちゃない。
「とにかく、それは訂正しろ」
「じゃあモヤシも訂正して。僕はアレンです」
「・・・・・」
「意地っ張り!」
「うるせえ」
負けを認めるのは絶対に嫌だ。その点で二人はよく似ていた。
だんだんと口がたつようになってきたアレン。神田は胸中でリナリーに恨み言を並べた。
一枚も二枚も上手な彼女には昔から勝てたためしがないのだけど。
そうこうしているうちに羊羹も緑茶もすっかり空になっていた。
洗濯竿に引っ掛けられた洋服が強めの風にあおられる。
その様子をアレンは何気なく眺めていた。
洗い物を片付けた神田がその横に立つ。袖がまだめくり上げられたままで、ちょっと可笑しい。
「ふふ」
「そんなの見てて面白いか」
「今笑ったのは違うよ。それより、ねえ神田、洗濯物をもう取り込んだほうがいいよ」
「ああ?」
「嵐が来る」
いやにきっぱりと子供は言い切った。
それに対して神田はすぐに行動を起こした。
ビュオオオと冷たい風が開けた窓から容赦なく入り込み、二人の髪をかき乱す。
「雨が降ってくるのはどのくらいだ」
「あと一時間くらい。その前に風が止んで、油断したところを急にくる感じです」
「わかった」
てきぱきと洗濯物を取り込む神田をアレンが手伝う。
アレンの予報が外れたことは一度たりとも無い。
その予言ともいえる予報をおおらかなここの人々は言及することなく、受け入れ、あやかっている。
「じゃあ僕みんなに知らせてくるね」
「俺も行く」
強い風が吹きつける中、二人は手をつないで歩き出した。
どこぞのモヤシが吹き飛ばされないようにな、と憎まれ口をたたけば、思いっきり足を踏まれた。
「今日の晩御飯、どうする」
「リクエストさせてくれるの? そうだなー・・・」
「ざる蕎麦か、掛け蕎麦か、天ぷら蕎麦か」
ほとんど選択の余地が無いといってもいい選択肢。リナリーやラビが聞いたら呆れる様子が目に浮かぶ。
アレンは神田の手をつかみながら笑顔で言い放った。
「鶏南蛮蕎麦!」
続きを書いてみたはいいけど不完全燃焼でした。
鶏南蛮蕎麦はレシピを見ていたら私が食べたかったのです。おいしそう!